母が調子が悪くなったのは、弟が就職で地方に行った頃からでした。人の面倒を見るのが好きで、友達も多く、理想的な母親だったと思います。それが、私が一人暮らし、そして弟が大阪へ仕事で行き、父と二人きりがすごく寂しかったのかなと最初は思いました。お世話をする人がいなくなると、急に何もやりたくなくなる、うつになる傾向が強いとどこかで聞いたことがありました。病院に行くほどではないのですが、何とかしなくてはいけない、父と相談して、私の友達が通っているカウンセリングルームがあります。そこに行ってみることを進めてみました。
予約をして、当日、病気ではないからと、最初は嫌がっていましたが、私が一緒にそのカウンセリングルームへ行きました。すると、優しそうな声で、母が緊張していたのをほどいてくれました。何が不安なのか、私は同席しませんでした。でも、待っているのは疲れますね。何を話しているのだろう、何か重たい気持ちがどこかにあったらどうしようか、私のほうが不安になりました。出て来たとき、ニコニコした顔をして、「いろいろ話してすっきりしたわ」と言われました。
ぼうっとしていたのは、やはり育て上げた後の、何とも言えない空の巣症候群です。これは親にならないと、母親になって分かることだと言われました。「だけど、新しいことをはじめないといけないわね」と呟く母の顔は、寂しそうでした。私は、どうにもできません。でも、母はカウンセリングを受けて、笑顔が増えていきました。数日後には、元気になっている様子でした。だけど、たまにカウンセリングは受けに行っているようです。何を話しているのかは知りませんが、心がすっきりするなら、それが一番いいのかもしれません。